
鼻アレルギー外来
鼻アレルギー外来
当院ではアレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎に対して以下の治療を予約制で行っています。
ゾレア(一般名:オマリズマブ)は、アレルギー反応の原因となるIgE抗体に作用し、体の過剰なアレルギー反応を抑えるお薬です。従来の内服薬や点鼻薬・点眼薬などで症状が十分に改善しない重症のスギ花粉症の方が対象となります。
以下の条件をすべて満たす場合に、保険適用で治療が可能です。
ゾレアは皮下注射で投与します。通常、2週間に1回または4週間に1回、医療機関で注射を受けます。
スギ花粉が飛び始める1〜2ヶ月前から投与を開始し、花粉シーズンの間は継続します(通常、2〜4ヶ月間)。
ゾレアはアナフィラキシー(重いアレルギー反応)などの副作用がまれに報告されています。
注射後は30分間院内で経過観察を行います。注射後に体調に変化があった場合はすぐにご連絡ください。治療には医師の判断による事前の検査や評価が必要です。
*ゾレアは冷蔵庫で保管する必要があり、さらに返品できない薬剤です。そのため在庫を抱えにくいため、予約制で治療スケジュールを組む必要があります。
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初めてのご受診
初診では、舌下免疫療法(スギ花粉やダニによるアレルギー症状を和らげる治療)についてのご説明と、アレルギーの有無を確認するための検査(血液検査)を行います。
治療の適応があるか、また患者さまご自身が治療を希望されるかを確認したうえで、採血を行います。
舌下免疫療法を開始するには同意書が必要となるため、この時点でお渡しします。次回の診察時に必要ですので、大切に保管してください。
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2回目の診察
前回のアレルギー検査の結果をもとに、治療の可否を確認します。治療を希望され、同意書にご署名いただいたあとは、院内で初回の服用(初回投与)を行います。この治療薬はまれに副作用が出ることがあるため、初回は安全のため院内で服用し、その後30分間は様子を見ながら院内でお過ごしいただきます。
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毎日の服用について
舌下免疫療法は毎日1回、自宅で行います。治療薬を舌の下に1分間保持し、その後ゆっくりと飲み込みます。服用後5分間はうがいや飲食を控えてください。朝起きてすぐや午前中に服用するのが理想的です。また、服用の前後2時間程度は激しい運動、入浴、飲酒などは避けるようにしましょう。副作用を防ぐための大切なポイントです。
近年、アレルギー性疾患に対して、生物学的製剤という新しい治療法が注目されています。従来の治療法では十分な効果が得られなかった患者様にとって、生物学的製剤は新たな希望となる可能性があります。
生物学的製剤とは、遺伝子工学などの技術を用いて作られた、タンパク質などからなる薬の総称です。従来の薬が化学的に合成されたものであるのに対し、生物学的製剤は、生物が持つ免疫機能を応用することで、特定の病気の原因物質をピンポイントで攻撃します。
生物学的製剤は鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎に対して保険適応となっており、原則、従来の治療法(ステロイド薬、手術など)では十分な効果が得られずに、再発された方に適応があります。2025年4月現在、2種類の生物学的製剤があります。
どちらの薬剤も気管支喘息にも適応がある薬剤です。
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適応判断
医師が、患者様の病状や既往歴などを詳しくお伺いし、生物学的製剤による治療が適切かどうかを判断します。
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検査
治療前に、ファイバー検査、血液検査、CT検査、鼻茸の組織生検などを行い、患者様の状態を詳しく調べます。
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診断
好酸球性副鼻腔炎の診断基準を満たすようであれば、指定難病の申請を行います。診断書作成にはお時間をいただきます。
西宮市の場合は、市(保健所)が申請窓口となり、支給認定の審査・決定や医療受給者証の交付は兵庫県が行います。詳細はお住まいの行政にご確認ください。
申請から交付までには数週間~数カ月必要な場合があります。
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治療開始
生物学的製剤は、主に注射薬として投与されます。使用する薬剤などにより2週間ないし4週間ごとに注射します。導入時は当院で自己注射の説明や練習を行い、在宅で注射ができるよう指導いたします。
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経過観察
治療中は、定期的に診察や検査を行い、効果や副作用を確認します。
従来の治療法では十分な効果が得られなかった患者様にも、鼻茸の縮小、嗅覚の改善、鼻通りの改善などが期待できます。
標的とする物質のみに作用するため、全身への影響が少なく、副作用が少ないとされています。
症状が改善することで、日常生活や社会生活における制限が軽減され、生活の質(QOL)の向上が期待できます。
比較的高価な薬であるため、医療費が高額になる場合があります。
注射部位の痛みが発生する可能性があります。
良好な治療成績ですが、治療をやめると症状が再燃することがあります。
生物学的製剤による治療を受けるかどうかは、医師と十分に相談して決めることが大切です。
生物学的製剤には副作用のリスクもあります。治療前に医師から十分な説明を受け、納得した上で治療を開始しましょう。
治療費が高額になる場合があるため、事前に医療費や医療費助成制度について確認しておきましょう。
当院では、生物学的製剤による治療を行っております。患者様一人ひとりの病状やご希望に合わせて、最適な治療計画をご提案いたします。ご不明な点やご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。