
鼻の内視鏡手術
鼻の内視鏡手術
当院では、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症、鼻ポリープ、アレルギー性鼻炎、腫瘍など、さまざまな鼻の病気に対して「鼻の内視鏡手術」を行っています。内視鏡手術は、鼻の穴から細いカメラを挿入し、モニター画面で内部を確認しながら行う、体への負担が少ない(低侵襲な)手術です。
鼻や副鼻腔は、呼吸やにおいの感知、空気の加湿・清浄など、大切な役割を担っています。炎症やポリープ、骨のゆがみが原因で鼻の通りが悪くなると、日常生活に支障が出ることも少なくありません。内視鏡手術では、原因となる病変を除去し、空気や鼻水の流れを改善することで、鼻の機能を取り戻す効果が期待できます。
・当院の安全対策と設備
当院では、大学病院や大規模病院でも採用されている米国米国Medtronic社製の最新医療機器を導入し、安全で精密な手術を行っています。
CT画像と連動し、術中に手術器具の位置をリアルタイムで確認できます。これにより、眼球や脳に近い部位を的確に避けながら、安全に手術を進めることができます。
カメラに付着した血液や組織片を術中に自動で洗浄し、内視鏡の視野を常にクリアに保ちます。これにより、内視鏡を取り出して拭き取る手間が省かれ、手術時間の短縮と安全性の向上につながります。
病変部を吸引しながら効率よく切除でき、手術の正確性とスピードが向上します。
このような症状でお悩みではありませんか?
内視鏡下鼻・副鼻腔手術は、ポリープなどの病変の除去以外にも、副鼻腔を広く鼻腔に開放して、換気や排膿のルートを形成する目的があります。ほかにも、薬剤デリバリーを効率化し効果を高める役割や、炎症やアレルギーの原因となる副鼻腔粘膜の表面積を減少させる効果などが期待できます。
鼻の穴から内視鏡と専用器具を挿入し、ポリープや腫れた粘膜を丁寧に取り除き、鼻腔と副鼻腔の通路をひろく形成します。正常な粘膜はできるだけ温存することで、術後の回復が早く、粘膜の生理的な働きが維持されることが期待されます。術後は鼻の中に止血用の医療用スポンジをしばらく留置します。
【所要時間】
片側30分~1時間程度です。
適応疾患:慢性副鼻腔炎、鼻茸など
このような方におすすめです。
鼻中隔(鼻の左右を分ける壁)が曲がっていると、空気の通り道が狭くなり、鼻づまりや慢性的な鼻の不快感の原因になります。手術ではこの鼻中隔のゆがみを整え、空気の流れを改善します。
内視鏡を使いながら、鼻中隔の粘膜を切開し、曲がりの原因となっている骨や軟骨の一部を取り除き、形を整えます。粘膜は元に戻して吸収糸で縫合します。
局所麻酔で20〜30分程度です。
鼻の下側にある「下鼻甲介」が肥大し、空気の通り道をふさいでしまっている場合、その内側の骨だけを取り除き、鼻腔を広げる手術です。粘膜は残すため、鼻の機能を保ちながら、鼻づまりを根本的に改善します。
下鼻甲介の前端の粘膜を切開します。粘膜は温存しますが、骨を切除することで鼻の通りを改善させます。粘膜切開部を吸収糸で縫合します。出血の程度によって、左右の鼻に医療用スポンジを挿入します。
局所麻酔で30分程度です。
適応疾患:鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎
鼻中隔の前端は外鼻の強度にかかわるため、鼻中隔前方の曲がりが強い場合には、通常の鼻中隔矯正術が難しい場合があります。前弯矯正術とは、鼻中隔前方の曲がりに対して「添え木」のように骨板を縫合し、鼻中隔を形成する方法です(Batten graft)。鼻中隔の入り口を切開して、鼻中隔軟骨の前端を露出させます。鼻中隔後方の骨の一部を摘出し、骨板を前方に移植します。
このような方におすすめです。
アレルギー症状を引き起こす「後鼻神経」の一部を切断し、過剰な鼻水やくしゃみを抑える治療です。重症アレルギー性鼻炎に対する外科的治療の選択肢のひとつです。後鼻神経は、くしゃみや鼻水のコントロールをしている神経です。通常は、くしゃみや鼻水は異物を防ぐための生理的な働きですが、重症アレルギー性鼻炎では、粘膜の過敏性が亢進するため、少しの刺激でくしゃみや鼻水などの症状が過剰となります。後鼻神経を切断することにより、症状の緩和が期待されます。
内視鏡下で下鼻甲介の奥にある後鼻神経の数本を選定し、粘膜を温存しながら切断します。粘膜下下鼻甲介骨切除術と併せて行うことが多く、鼻閉・鼻水・くしゃみの同時改善が期待されます。
適応疾患:重症アレルギー性鼻炎
術後最初の数日は鼻からの呼吸は困難です。鼻が腫れて、血液が混ざった鼻水が多量にでます。術後1~2週間で鼻からの呼吸が可能となりますが、鼻からどろどろした塊が出ることがあります。
術後2週間は激しい運動(血圧があがる、脈拍があがる、息切れする、いきむ、強くぶつかる、汗をかくような運動)は控えてください。また、飲酒、喫煙、風呂でのぼせる、強く鼻をかむ、鼻を強くさわる、鼻に指を入れることなども控えてください。